毎朝1時間の筋力トレーニングでしっかりと床を踏み込むたびに、私は人間の足首の精巧な作りに感心させられます。ロサンゼルスで10年間カイロプラクターとして活動していた頃から、そして現在、名古屋駅前の当院で診療を続ける中でも、「足首の捻挫がクセになっている」「足首が硬くてうまくしゃがめない」というご相談を数多く受けてきました。
足首は、単にドアの蝶番(ちょうつがい)のようにパタパタと上下に動いているだけだと思われがちですが、実はとても複雑で精密な働きをしています。今回は、スポーツ医学の観点から「なぜ捻挫が起きるのか」「なぜしっかり治す必要があるのか」を、わかりやすく解説します。
つま先立ちの時に捻挫しやすい理由
足首の土台となっている骨は、真四角ではなく「前側が広く、後ろ側が狭い」という、くさびのような形をしています。
足首を上に向ける(つま先を上げる)と、この広い部分がガッチリと関節にハマるため、足首は非常に安定します。しかし逆につま先を下げた状態(ヒールを履いている時や、背伸びをしているような体勢)になると、狭い部分が関節に入り込むため、構造的に「ゆとり」が生まれてグラグラになります。
段差などでつま先から着地した瞬間に足首を捻りやすいのは、この「ゆとり」がある不安定なポジションだからなのです。
足の外側にある細い骨の「隠れた大仕事」
足の外側には細い骨があります。体重を支える割合は少ないのですが、実はこの骨、私たちが立って体重をかけた瞬間にほんの少しだけ下へスッと動き、足首の関節をロックしてガッチリ安定させてくれる役割を持っています。
さらに、歩いたり走ったりするたびに、サスペンションのようにしなやかに動いて衝撃を逃がすという、非常に重要な働きをしているのです。
昔の捻挫が残す「見えないズレ」
皆さんに一番お伝えしたいのは、「過去の捻挫を放置しないでほしい」ということです。
捻挫をした後、「痛みが引いたから」と適切なケアをせずにいると、足首を構成する骨が本来の位置から前方へズレたまま固まってしまうことがよくあります。
骨がズレて引っかかると、足首を上に向ける動きが極端に硬くなります。その結果、しゃがむ動作がスムーズにできなくなり、それをかばって生活することで、膝や腰など別の部分に負担がかかり、全身のバランスを崩す原因になってしまうのです。
当院では、このような足首の微細な関節のズレを正確に評価し、正しい位置へと戻すケアを行っています。昔の捻挫が原因で足首に違和感がある方、スポーツのパフォーマンスを向上させたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
【参考記事のご案内】
この記事は、私が学長を務める徒手療法大学のコラム記事を、患者様向けにわかりやすく再編集したものです。足首の生体力学について、より専門的で詳しいメカニズムを知りたい方は、ぜひ以下の元コラムもご覧ください。
▼徒手療法大学 学長コラム
距腿関節のバイオメカニクス:足首捻挫が起きる本当の理由