こんにちは。スポーツ医学&カイロプラクティック研究所の榊原です。
私自身、毎朝1時間の筋力トレーニングを日課としていますが、ダンベルを握ったり引き上げたりする動作において、手首から肘にかけての連動性がいかに大切かを身をもって感じています。
さて、当院には「テニス肘(外側上顆炎)」でお悩みの患者様が数多く来院されます。テニスなどのスポーツ愛好家はもちろん、パソコン作業の多いデスクワーカーや、家事で手首をよく使う方にも非常に多い症状です。
「湿布を貼ってしばらく安静にしていたのに、また痛みが出た……」 そんな経験はありませんか?実はそれ、肘で起きている「本当の原因」に対してアプローチできていないからかもしれません。
テニス肘は「炎症」ではなく「腱の老化・変性」
外側上顆炎という病名を聞くと、肘の外側で「炎症」が燃え盛っているようなイメージを持つかもしれません。しかし、最新のスポーツ医学の研究では、慢性化したテニス肘の正体は、炎症ではなく「腱の変性(ボロボロにほつれた状態)」であることがわかっています。
古くなったロープを想像してみてください。使いすぎて繊維がほつれてしまったロープは、ただ置いておくだけでは元の頑丈なロープには戻りませんよね。これと同じで、肘の腱もただ安静にしているだけでは根本的な解決にはならないのです。
【豆知識:なぜ子どもはテニス肘にならないの?】 小中学生がこの部位を痛めることは稀です。なぜなら、子どもの腱は新品のゴムチューブのように柔軟で、衝撃をうまく吸収できるからです。大人はこの柔軟性が低下しているため、腱の付け根に負担が集中してほつれてしまいます。
治らないテニス肘に隠された「2つの盲点」
当院では、痛い部分(腱)だけをマッサージするようなことはしません。なかなか治らないテニス肘には、以下の「2つの盲点」が隠れていることが多いからです。
1. 神経の引っかかり(橈骨神経の滑走障害)
肘の外側には「橈骨(とうこつ)神経」という重要な神経が走っています。肘周りの筋肉が硬くなったり癒着したりすると、この神経がスムーズに動けなくなり、引っ張られて「ピキッ」とした鋭い痛みを出します。痛みの犯人が腱ではなく「神経」であるケースは非常に多いのです。
2. 関節のサビつき(橈骨頭の運動障害)
手首をひねる動作のとき、肘の関節(橈骨頭)はドアの蝶番(ちょうつがい)のように滑らかに動く必要があります。しかし、テニス肘の方のほぼ全員が、この関節の動きが悪く「サビついた状態」になっています。蝶番がサビているのに無理やりドアを開け閉めすれば、当然どこかにガタがきますよね。
当院でのアプローチ:痛みの根本から整える
当院では、スポーツ医学の知見とカイロプラクティックの技術を掛け合わせ、以下のようなステップで根本改善を目指します。
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関節の動きを取り戻す まずは肘や手首、そして肩甲骨などを含めた腕全体のバランスを整え、サビついた関節が滑らかに動くように優しく調整(モビライゼーション)します。
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神経の滑りを良くする 筋肉の間で窮屈になっている神経に対し、「神経滑走(ニューロダイナミクス)」という特殊な手技を用いて、神経がスムーズに動ける道を作ります。
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腱を正しく鍛え直す ほつれたロープ(腱)を再び強くするためには、適切な負荷をかけるリハビリ(エキセントリック・トレーニング)が不可欠です。ご自宅でできる安全で効果的なエクササイズを丁寧に指導します。
おわりに
テニス肘の改善には、組織が生まれ変わるための「時間」と、患者様ご自身の「根気」が少しだけ必要です。しかし、原因を正しく見極めて適切なケアとエクササイズを続ければ、必ず良い方向へ向かいます。
「ペットボトルのフタを開けるのが辛い」「痛みを気にせずスポーツを楽しみたい」という方は、ぜひ一度当院にご相談ください。あなたの肘の痛みの「本当の原因」を一緒に見つけ出し、解決していきましょう!
この記事のベースとなったコラムは、徒手療法大学の公式サイトにて公開しています。未来のカイロプラクターに向けたより専門的な情報にご興味がある方は、ぜひあわせてご一読ください。